全校朝礼が行われました
2024年9月30日 11時38分9月27日(金)に全校朝礼が行われ、図書研修課長 髙橋広美先生より講話がありました。
2023年度の国語世論調査では月に1冊も本を読まないと回答した人は62.6%に上り、読まない理由は「仕事・勉強で多忙」とこれまでトップだったものから、「スマートフォンなどに時間をとられる」が上回ったそうです。
文芸評論家の三宅香帆さんは、著書「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」の中で 、“バブル崩壊後、人々の働き方が変化する中で、自分の意図していない知識を頭に入れる余裕がない人が増え、「情報」のみを求めるようになった。そして自分にとって不必要な情報も入ってくる読書は「ノイズ」(雑音)として遠ざけられるようになった”といっています。ここで問題だと感じることは、本を読まないこと以前に、今自分に直接関係のないものをノイズとして遠ざけてしまうことです。「文脈」と作者が呼ぶ、自分から離れたところにあるもの、ノイズになるものが世の中にはあふれています。目の前のことにしっかり向き合うことはとても大事なことです。しかし、目の前のことだけを見て、関心の無いことを「ないものにしてしまうこと」は違うと思うのす。
NHKの朝のドラマ「虎に翼」は、現代の問題として存在しながらつい日常の忙しさにかまけて意識の外におきがちな問題、見えないことにしてきたものをそのたびに思い出させてくれました。「自分に関係ない」と思わないことが世の中を変える。このドラマの脚本家の言葉です。憲法第十四条、あたりまえのことなのに、「法の下の平等」を解くことばが心に響きました。現実世界に目を向けると、昨日袴田巌さんに無罪が言い渡されました。58年にもわたって人権が蹂躙され続けてきた事実に愕然とします。
今、直接自分に必要な情報だけでなく、直接関係ないと思えるもの、他者の文脈に触れること、そこから想像することで得られるものは多いのではないでしょうか。みなさんがしっかり心のアンテナを張って、ノイズも受け入れて、自分の心を、未来を豊かにできる高校生活を送ってほしいと願っています。